時折吹き荒れる、偏見と誤解に満ちた「生活保護バッシング」。その典型的な論法の一つに、「生活保護を受け、働かなくても最低限の生活が保障されたら、人は堕落して働かなくなる」というものがあります。しかし、これは根拠のない誤りです。 たとえば、コロナ禍のとき、非正規雇用の不安定な労働環境で、比較的低廉な賃金で働いていた多くの人たちが職を失い、生活保護の受給申請をしました。このとき、実は行政書士の私も戸惑いました。「生活保護制度の手厚さを知って、なお再び同じような低賃金の労働環境に戻ろうとするだろうか？」と。 ところが、現実には、コロナ禍が収束し求人数が戻るにつれ、働ける状態にあった若い人たちは、早々に新たな仕事に就き、生活保護から自立していきました。 また、心身の病気や障害により労働が現実的に困難で自立した生活が営めなくなった人の中にも、生活保護制度を利用し、それによって助けられ、自立していった人が数多くいます。 今回は、深刻な病気を抱え生活保護を受給し、それによって自立を果たした経験のあるユウタさん（仮名、30代男性。当時は20代）の事例を紹介します。ユウタさんは「同じように悩み苦しむ人の励みになりたい」「生活保護制度への偏見を少しでもなくしたい」という思いから、自らの経験の公開を希望しました。（行政書士・三木ひとみ） ユウタさんは高校卒業後、棚卸しの仕事に3年ほど従事し、その後はトラック運転手と、主に肉体労働をしていました。 ある日、ふとしたきっかけから『手が汚い』と感じ、ウェットティッシュを常備するようになりました。最初は、汚れたら手を洗う、拭くという作業だったのに、どんどん行為はエスカレートし、軍手をはめ、マスクをしないと外出ができなくなっていきました。 ユウタさんは強迫神経症を患っていたのです。 最後に働いたトラックドライバーの仕事では、月給は手取り16万ほどでした。その仕事中に、走行する道路にゴミが落ちているのを見て気分が悪くなり、車を止めて休んでしまうようなことが頻繁になり、解雇されてしまいました。 無職無収入となり、最初は実家に引きこもっていたユウタさんですが、親からは「働かないなら出ていけ」と厳しく言われ、祖母宅に転がり込みます。しかし、その祖母宅でも、強迫神経症により食事も一緒にとれない、何もできないどころか、「洗濯をすると余計に汚いから」と衣類やタオルを洗えません。 真っ黒な軍手が部屋に置かれた不衛生な状態に祖母も耐えかね、ユウタさんに対し、家を出ていくように言いました。 また、ユウタさんは極度の男性恐怖症も発症してしまい、ますます外出が困難となってしまったといいます。ユウタさんの家族には男性がおらず、母、祖母、妹とだけ接していたことが影響したようです。 2017年3月、私の行政書士事務所に、ユウタさんから「生活保護を受給したい」という悲痛なメールが届きました。公共交通機関で事務所を訪れようにも、外出すらできないというので、メールや電話で対応することになりました。
コメント 10件
生活保護の問題に限らず、人間楽な方に流れてしまうものです。 生活保護を受けてしまえば、余程の事がない限り打ち切られる事は無いし、医療費無料で労働のストレス無く衣食住が保証される。 ぬるま湯に浸かってしまうと自力で生活を立て直そうとする気力が沸かなくなるのはある意味仕方ないのでは。 これは制度の問題なので、難病とか明らかに働けない場合を除き、期間限定にするべき。
真面目に納税していて、働けなくなったのなら生活保護を受けるのは当然の権利だと思うが、今の制度は、一度生活保護を受給するとやめられなくなるほど手厚く、生活保護は世襲だと誤解している者まで現れているので、国民年金を超える支給額や医療費無料等の各種特権は見直すべきだと思う。
生活保護を受けたからって、そんなに簡単に労働意欲を失うかな？ 自分の場合は精神を病み、生活保護ではなく実家に身を寄せて養ってもらったパターンですが、労働せず療養のみの日々を過ごす中で「何か仕事しなきゃ」と焦りの方が強かったです。 知り合いのツテで内職した時は母親から「コーヒー代にしかならない仕事に集中し過ぎて、逆に調子悪くなったらどうするの？」なんて言われましたが、数百円の仕事でも誰かの役に立ちたかったです。 多くの日本人は、最低限の生活で自由を制限させるよりも、労働して自由を謳歌する生活を望むんじゃないかと思います。
正直うらやましい。 優秀なサポートがあったからこそ実現した。 出逢いが良かったね。 私はずっと肉体的な長患いをしていて、働きながらの闘病は本当に辛かった。 生活保護を考えたこともあった。 悪化したら手術。 頑張りすぎれば入院。 治療の副作用には何十年と苦しんだ。 日常生活もままならない時期もあった。 働けない時期は実家に世話になるしかなかった。 でも、仕事を選んだのは自分。 お金とかキャリアとか仕事が私に与えてくれたものは少なかったし、 体が弱くて理不尽なことにも遭遇したけど、 そんな中で良い人たちと出逢うことができたので、 その出逢いが心を慰めてくれてる。 仕事してなかったら出逢わなかった人たちだから。 人生よくできてる。 ご褒美かな。 周りの人に感謝して生きてる。 もう少し働けるようになりたい。スーパーの値段が高過ぎるし、毎日服用する薬代も親の年金から出してもらってるから申し訳ない。
政治資金と同様、生活保護も公金である以上、その使途を1円単位で明らかにするべき。 現金での支給をやめて、電子マネーで支給して、一体何に使っているかを国民に開示すればよい。 足りる足りない、甘え甘えでないというのは、その後の話ではないか。そうしなければ、働いたら負けの疑念は拭いきれないだろう。 政治資金と共に生活保護の透明化をするべきだ。
本来の生活保護制度を悪用する人間には、発覚した時点で厳罰を課すなどの厳しい対応が必要でしょう。生活保護費は血税なのだから当たり前です。 他方で、生活保護は、やんごとなき理由から働けない時代でも、再起に向けて生きていける制度として十分に活用して欲しいと思います。 「制度の不正利用は○％しかない」とは言われますが、それは不正利用者が発覚した結果の数値であって、実はその数倍もあるのでははいかと推測します。 これら隠れ不正を発掘するには自治体の職員を増やしてパトロールするしかありません。それは行政コストに跳ね返り、住民の税負担に繋がります。 制度を悪用する輩はいつの時代でも存在しますので、その根絶を目指してコストをかけるのか、そのコストを別のことに活用するのかは、自治体の判断ですよねー。 いま生活保護を受けている方々も、それまでは人一倍の税金を払ってきた可能性もありますよね。
この件は本人の意欲だけでなく、周りのサポートや福祉事務所の体制が優秀だね。 本来、ケースワーカーは受給者を可能な限り自立に導かなければならない。色々な困難を抱えた要保護者の相手をするのは、とても時間と手間がかかる。それでも突き放さずに、可能であるなら自立に導くのが仕事だよ。 それを怠っている福祉事務所が現実には多いと思う。まあ、これは職員への批判ではなく、現実的にマンパワーが足りなくてどうしようもならない所が多いけど。
批判する人にこのような例をいくつも知らせても「ふ〜ん、それで？」になる。 なぜなら批判派も困った人が生活保護の期間を経て自立した人を何も否定してないからだ。このような例がある事も当たり前にしか思えない。 だから何度議論を重ねても噛み合わない。 推進派の方こそ問題点をどんどん出すべきだね。 それを埋める共通認識が出来てこそ身のある議論が出来る。
生活保護が一時的な利用ならここまで批判されないだろうけど、生活保護で生活しようとしてる時点で批判されると思う。 働けるのに働かないように見える人が多いから印象は悪くなるでしょ。 失業保険のように期限付きなら働かなきゃ行けないって気持ちにもなるだろうけど、対象になればずっと続くんだし、家に引きこもっててもお金もらえるってそりゃ同意できない人は多くなるでしょ。
甘えという人たちがいるが生活保護というのはセーフティネットなわけで甘えのように見えても生活困窮しないように存在しているにすぎないしそういう批判をしている人たちはどれほど困窮しても生活保護に頼る必要はない むしろどんなひとでも生活保護に頼らなくてもいいよな社会を構築するにはどうしていけばいいのかを話し合い提案し実行すべきだろうね 不正受給ならまだしも生活保護を受けるというのは様々な理由があるわけで否定や批判をするのは違うと思う
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/3ee7418ef4ce1bd35ca345e8a0c4ece26132d261
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