中国で「夏の定番」として親しまれるザリガニ料理のシーズンが、今年も始まった。若者たちが大皿に盛られたザリガニを囲んで楽しむ光景は、ここ十数年ですっかり定着した。 ところが5月に入り、卸売価格が突然、半値近くまで急落したという。人気に陰りが出ているのか、それとも別の理由があるのか――。 ◇プリッとした歯ごたえ 内陸部・湖南省の省都、長沙。国内有数のザリガニの産地を5月中旬に訪れると、長江の支流沿いにザリガニ料理店が軒を連ね、店内では多くの若者がビール片手に山盛りのザリガニをほおばっていた。 「これが地元で一番の人気料理だよ」。現地の人に勧められたのは、香辛料の利いたザリガニ炒め。硬い殻をむいて口に入れると、歯ごたえのある身とスパイスの風味が広がり、癖になりそうだった。 かつては湖南省や湖北省の一部で細々と食べられていたザリガニは、養殖技術の進歩やオンライン取引の普及に後押しされ、2010年代前半から急成長。「ザリガニ食ブーム」が広がり、大皿で何皿も注文し、仲間とわいわい楽しむスタイルが若者の間で定着した。 ◇旬を迎えた途端に… 旬は気温が上がり始める4月下旬ごろから。ちょうど出荷が本格化するこの時期、思わぬ「値崩れ」が起きている。国営中央テレビによると、1~4月の全国平均卸売価格は1キロ70元(約1400円)だったが、5月には38元(約760円)と、ほぼ半値にまで下がった。 中国紙「農民日報」は、業界団体幹部の話として「供給過剰が原因」と報道。養殖技術の向上や生産エリアの拡大に加え、シーズン入りで一気に出荷が増えたことで、需給バランスが崩れたという。季節要因のほか、業界の構造的な「過剰生産」も背景にあるとみられる。 ◇「コスパ悪い」の声も 中国政府はザリガニ養殖を農村の所得向上策として推進してきた。19年以降、中央政府と地方政府は合わせて50億元(約1000億円)超の財政資金を投じ、効率的な養殖法の導入が進んだ。技術革新とともに、参入者は増え、業界は急速に拡大した。 業界団体のリポート「中国ザリガニ産業調査分析報告」によれば、24年の養殖面積は200万ヘクタール、生産量は300万トンに達し、いずれも5年前の約1・5倍に増加したという。 だが、ここにきてブームも落ち着きつつある。一皿2000円以上と価格は決して安くなく、「身が少なくコスパが悪い。エビの方がいい」(上海在住の30代男性)と敬遠する声も。昨年は閉店に追い込まれる専門店が相次いだ。 ◇打開策はやっぱり… 過剰な供給に対して消費は頭打ち。湖北省の組合幹部の一人は中国メディアに「利益は最盛期の3分の1まで減った」と語った。 苦境打開の糸口として、海外市場への展開も加速している。24年のザリガニ輸出量は前年比44%増の1万1700トンに拡大。巨大経済圏構想「一帯一路」の参加国を中心に急増しているという。 湖北省のある食品会社は今年4月末、サウジアラビアへの輸出を開始した。地元紙によると、同省として初の中東向け輸出だった。他の中国製品と同様、国内市場の飽和を受けて海外へと販路を広げる動きは、ザリガニ業界にも波及している。 ひょっとすると近い将来、世界各地の食卓で中国産ザリガニを見かける機会が増えるかもしれない。【長沙で松倉佑輔】
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10年程前迄は、中国での長期駐在経験者です。中国は海鮮を食べる習慣が海岸地域に限られ、内陸部では「河川、湖」での養殖品のみが食用です。記事に在るよう当然、田圃養殖が主流です。「ザリガニ」はうってつけ養殖対象です……しかし臭いは強く生食には向きません。内陸部では「痺辛味」が主流地区で「ザリガニ+痺辛味」は最適でした。しかし、泥排除の段階で「工業用洗浄剤」を使用で「人体骨を溶かす」成分が有り「国家安全局」より「食用不適」の指定品でした。中国駐在日本人の内部連絡でも「ザリガニ食禁止」の対象品でした。価格は大きく下落でした。
中国では、田んぼの農閑期にザリガニ養殖で、コメもザリガニの糞が肥料になるからブランド価値が付くそうですが、それで収入が上がったからと、全体的に右に倣えするのが中国らしいですよね。 そりゃあ供給過多にもなります。 ちなみに首都圏でも、千葉の印旛沼周辺のうなぎ屋さんの夏場の裏メニューで、一皿1000円程度で食べられます。軽く塩ゆでされた養殖物に、物足りない人は軽く醤油を付けて。 食べるのが面倒な割に、臭みはないけど、味もあまりしないんですが。
ザリガニの過剰生産による価格崩壊は、中国特有の「トップダウン成長」の典型的な失敗例で、養豚、鶏卵、野菜…どれも同じ過ちを繰り返してきました。 問題は、その余剰分が海外市場、つまり日本の流通現場にまで押し寄せてくるリスクが現実にあることです。 ザリガニ自体は日本ではほぼ需要がありませんが、他の農産物や水産物で同じことが起こればどうなるか。 中国側はいい加減、内需の需給バランスを無視した「作れば勝ち」型の拡張路線を改め、自国産業を成熟させるべきです。海外展開なんて、その足元を固めてから言ってほしい。 日本から見れば、これは対岸の火事ではなく、確実にこちらに飛び火してくる「危険な火種」です。
中国では大体だけど「調理済み」のザリガニがグラム100円程度で売られてる。まぁ殻も込み込みだけど。 だけど基本的には油で揚げる調理法が主流なので、食べ進める内に殻を剥き続けた手はギトギトのベトベトになる。 茹でたカニの身をほじくりながら食べるのとはちょっとと言うかだいぶ勝手が違う。 アメリカザリガニ通称マッカチンは、昭和の時代に日本でも食用、そして家畜の餌として持ち込まれたけれども、その余りにも強い繁殖力と生命力で従来の生態系に様々な悪影響を及ぼしている。そして残念ながら日本では食用としては思ったほど根付かなかった。 他にも美味しいものたくさんあるしね。 ザリガニの話しが出る度に思い起こすのが漫画「こち亀」で、両さんがザリガニは食材として売れると聞いて田んぼにザリガニ釣りをしに行く話し。 正確には覚えてないけど最終的にザリガニの復讐に遭ったはず。 こち亀、今読んでも面白いんだよなぁ。
ザリガニは簡単に養殖できるし野生環境でもすぐに定着してしまう。 輸出も最初は成功しても、直ぐに現地で大量生産されてしまいそうだ。 海に面した国ならエビと競合するし。 輸出産業としては難しいだろうな。
この記事で客も言ってる通り、確かにコスパは良くないよな。 殻が厚く硬い分、見た目の割に中身は思ったほど食べるところがない。 そのうえよく泥を吐かせてゴシゴシ洗って汚れも取り除き、ニンニクとかハーブで消さないと泥臭い。 私は冷凍むきエビでいい。イセエビならもっといいけど。
ちびまる子ちゃんで、魚飼ってる水槽にザリガニ入れたら魚が捕食されたエピソードがありましたね。あれ、作者が子供の頃の実体験で、その後その時の水槽でスズムシを飼育したんだけど、その一連のエピソードを「一家惨殺事件の事故物件を他人に貸してる大家の気分」と例えたのが逸品だった
アメリカザリガニは食用として日本に持ち込まれた、という話だが、なんで食用が定着しなかったんだろうか?日本は海に囲まれた国で、海の幸は豊富だから「何もザリガニなんか食べなくても」という事になったのかな?確かに茹でる前から真っ赤な生き物を食べようとは思わんかな。
デフレと不況でコスパ志向が高まっているのですね。 何年か前にザリガニの殻剥きで企業した人がいたと思うけど、何をしているのかな。 ある仕事のマージンが永遠に維持されることは無く、社会に不可欠なもの以外のサービスには独自性が要求される。殻剥きは早々に競合が出てお仕舞いだろうな。
昭和の40年代の少年でしたが、ザリガニは良く食べました。 どこの用水路や湖池にもいましたし、簡単に取れましたしね。 でもやはり農薬を使うようになってからいなくなりました。 文明の進化と共に消えていきましたね。でも今や高級食材です。 あえて綺麗な水で養殖していますから。地元ではウナギが有名な川魚料理専門店で食べられます。小皿に5匹位乗っかっていますが、とんでもなく高いです。中国もいずれそうなるのでしょうね。
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/7a93552b06a05b022a90049fea1f646ece86bb5f
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