スポーツの根幹を揺るがす大会が開催されようとしている。2026年5月21日から24日にかけて、米ネバダ州ラスベガスのホテル「リゾーツ・ワールド」で第1回大会が行われる予定となっている「エンハンスト・ゲームズ」だ。 オーストラリアの起業家アロン・デスーザ氏が創始者となったこの大会は、「Enhanced(強化された、改良された)」という名が示す通り、ステロイドやヒト成長ホルモンなど国際大会で禁止されている薬物の使用が容認された異例の枠組みの中で行われる。 陸上(100メートル、女子100メートルハードルと男子110メートルハードル)、水泳(50メートルと100メートルの自由形およびバタフライ)、重量挙げ(スナッチおよびクリーン&ジャーク)の3競技の実施が決定。各種目の優勝者には25万ドル(約3600万円)、世界記録を破った選手には100万ドル(約1億4400万円)のボーナスが付与される。 デスーザ氏が「技術力と科学が急速に変化する時代に、世界は、未来、特に医学の進歩を取り入れたスポーツイベントを必要としている」と明言する同大会は、ドナルド・トランプ米大統領の長男であるジュニア氏らが支援を表明し、資金面の課題もクリア。『AP通信』などによると、競泳では世界選手権男子100メートル自由形で2011年、13年と連覇したジェームズ・マグヌッセン(オーストラリア)に加え、男子50メートルバタフライの世界記録保持者アンドリー・ゴボロフ(ウクライナ)ら実力者が参加を表明。第1回は総勢200人程度の出場を見込んでいるという。 もっとも、スポーツを越えた倫理的な面から批判は殺到している。米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガートCEOは、英紙『The Gurdian』などで「利益を優先する危険な道化芝居」だと猛反発。世界反ドーピング機関(WADA)も「危険だ」と計画を糾弾し、「禁止された物質や方法を使用した選手が、深刻で長期的な副作用に苦しんだ例は数多くある。死者も出ている」と警鐘を鳴らした。 「WADAはエンハンスト・ゲームを危険で無責任なコンセプトとして非難する。選手の健康と福祉がWADAの最優先事項である。この大会は明らかに、エンターテインメントやマーケティングを目的として選手が強力な物質や方法を使用することを促進しようとしており、それ(選手の健康と福祉)を危険にさらすことになる」 また、アスリート側からも懐疑的な見方が強まっている。マグヌッセンの母国でオーストラリアの反ドーピング組織『SIA』のアスリート諮問委員会は、「パフォーマンス向上薬の常態化は、娯楽としてのドーピングを促進し、アスリートを危険にさらし、クリーンな競技を選んだ選手の努力を軽視することになる」と断言。エンハンスト・ゲームの運営組織はもちろん、参加選手への不信感をあらわにした。 「我々は特に若いアスリートに対するロールモデルとしての悪影響、そしてうっかり『ドーピングが安全なんだ』と思われてしまう可能性のあるパフォーマンス向上物質や方法の使用に伴う健康リスクを懸念している」 「参加を検討しているアスリートに対しては、自分自身の健康的なリスクだけでなく、彼らを尊敬し、その選択に倣う若いアスリートたちに、その選択が及ぼす影響についても再考し、十分に理解するよう強く求める」 豊富な資金力を背景に、ある種の娯楽として開かれようとしている同大会。そのハレーションは広まる一方である。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]
コメント 10件
ドーピング等やりまくったら人はどこまでいけるのか?という意味ではちょっと興味深いからわからんでもないんだけど…批判殺到なのは当然そうなるでしょうね でもこれがあったからスポーツ界がドーピングまみれになるとはとても思えないし興味本位のこういう大会があってもいいんじゃない?とは思うけど やばいとすればドーピングやりまくった大会の方で圧倒的な世界記録越えが多発したときくらいでしょうか まぁそれはそれで「逆にドーピング全否定ってどうなのよ」という議論になるかもしれないわけでそれもありかなとも思います
アスリートとしての能力を競うのではなくてドーピングを競うというイベントになりそう。こんなのはスポーツではないし、この大会に自分から望んで参加するアスリートはアスリートではないと思う。
面白い!知名度をあげたい!って出る人や オリンピックや世界大会を目指していたけど あと一歩だった人が名声がほしく出場するかもしれないけど 出るって言うことは これからの選手生命と引き換えになる
私は興味ありませんが、当人も興行主も観客も納得しているなら別に外野がとやかく言う権利もないのでは 世界記録を大幅に上回る記録が出たところで・・・だし 競技者は「あの時の俺は本当に馬鹿だった」と、後のドキュメンタリーの主人公として二毛作も狙えるかも
参加者は各国の代表になれもしない2流選手の集まりになるから、ドーピングしても世界記録に遠く及ばないと思うな。むしろ薬物使っても、たいした結果しか出ない大会なら、参加するアスリートも恥ずかしいんじゃないの? タイトルだけ見れば面白そうだけど、こんなスポーツショーに元アスリートが出場したいと思うのか疑問だし、開催するまでもなく全然おもしろくない結果と記録しか出ない。 自分を見てもらいたい人のための参加型スポーツフェスなんて誰か興味ある?
終わりの始まりだよ。 人間が今まで保ってきたスポーツの制度や規律、規制を取っ払い、ドーピングでの記録の向上を図るのだ。悲しいかな、こういった競技形態は拡がるだろう。 こんな会話にもなるかも知れない。 優勝者へのインタビュー 司会…世界記録を叩き出しましたね。どんな薬を使ったのですか? 優勝者…いやぁ、◯◯を常用しました。 毎日1粒飲むだけで記録が向上しました! 泣けるな。人間と人間の真剣勝負は見られなくなるのか。。
お相撲も、無茶な食事方法で無理矢理身体を大きくさせているスポーツで若くして亡くなる人が多くて問題だって言われたらある意味正解。勿論薬物は使ってないですが。 倫理は最低だけど一番平等なスポーツになりそう
スポーツマンシップって何? 自分に打ち勝って、良い成績を出すために努力するから称賛されるのじゃないの?マラソンなどでは、下位でも息も絶え絶えに走る姿に観客は拍手を送る。 楽して勝てばいいなら、将来は機械を埋め込んだ選手による競技でもする気じゃあるまいか? 薬を飲んだ量で対決するって・・・オーバードーズの大会じゃあるまいし。 それこそ見世物だよな。
こういう大会を待っておりました いずれ五輪よりも価値のある大会になるでしょう 批判の根拠は選手の健康ですが、今は健康被害を極限まで抑える薬も開発されております ですのでその根拠は脆弱だと言えます 思えば強化人間を拒絶しなかった時代の五輪は今よりずっと魅力的でした ベン・ジョンソン、ジョイナー、ゼレズニー、カール・ルイス、ブブカ、カレリン、マイケル・ジョンソン 我々は超人達の躍動に興奮したものです 他にも例えば野球という競技(MLB、NPB)なんかは実質的には強化人間を許容しております ドミニカンはほぼ全員が強化人間でしょう 格闘技大会、Prideがあれだけ盛り上がったのも強化人間を排除しなかったからです 30代後半以上の男性には強化人間であるヴァンダレイ・シウバの戦いに興奮した方も多いでしょうね
別に多様性を大事に言うならこれは認めるべきだ。 色んな人が色んなことを主張するのは利害関係が生じない限りは楽しいし勉強になる。社会の繁栄と少し相関があるだろう
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/dd3fa9208da228816ba312d09101e1148a8e0cc5
コメント