疲労感やいらいらといった症状を引き起こす「更年期障害」。女性特有の悩みと思われがちですが、男性でも発症することがあります。原因は、ストレスなどによる男性ホルモンの急激な減少。働き盛りの年齢で症状に悩む人も多く、業務効率の低下などによる経済損失は年間1兆円を超えると試算されています。そもそも男性の更年期障害とはどのようなものなのか?セルフチェックの方法は?当事者や専門医らに取材しました。(時事ドットコム取材班 長田陸) ◇「集中力続かず、考えがまとまらない」 「なんだかよく分からない状態。頭の中に濃い霧がかかったような感じだった」。東京都内の男性(60)は、48歳の頃に感じた体調不良をそう振り返る。「経験したことのないだるさがあった。全身のエネルギーが落ちて動けない」 当時、金融機関に勤務していた男性。「集中力が続かず、考えがまとまらない」。これまで普通にできていた業務に手間取ってしまったり、気持ちがふさぎがちになったり。「電車に乗れないほどの疲れを感じ、通勤にタクシーを使うこともあった」。プライベートでは、休日に少年野球チームの監督をしていたが、活動に参加できない日が徐々に増えていった。 「気分転換すれば、なんとかなるんじゃないか」。そう考え、睡眠時間を長くしたり、休みを取ったりした。もともと弱かった胃腸の病気を疑い、食事にも気を配ったが、それでも症状は改善しない。「打つ手がない。どうなっちゃっているんだろう」。焦りや不安はますます体調を悪化させ、仕事の欠勤や遅刻が重なった。 ◇治療続け「体が動くように」 原因不明のまま発症から3年ほどが経った頃、男性ホルモンの低下により体調不良が生じることがあるとインターネットで偶然知った。そこで紹介されていた症状が自分のものと似ていたことから、病院で受診。面談や採血などを経て、男性ホルモンの低下が判明し、ホルモンを補充する治療を始めることになった。 「元気になれるかもしれない」。ずっと霧がかかっていた中に、薄日が見えたような気がした。とはいえ、症状の改善には時間がかかった。治療に専念するため会社を休職していたが、十分に体調が回復せず、54歳で退職した。 現在も漢方薬の服用や定期的なカウンセリングを続けている。まだ、発症以前の体調に戻ってはいないが、「治療のお陰で体が動くようになった。体調が悪かった時期と比べると、格段の差がある」 ホルモンの低下は、加齢だけでなくストレスも大きな要因になる。発症時期を振り返ってみると、リーマンショック後に仕事の要求が厳しくなったことや勤務先の買収、不本意な異動などでストレスを抱えていた。「やはり、ストレスを溜めないことが大切。もともとは完璧主義な性格でしたが、今では一人で全てを抱え込んだり、頑張りすぎたりしないよう心掛けています」 ◇低い受診率、「認めたくない」気持ちも 男性の更年期障害は、男性ホルモンの一種「テストステロン」が急激に減少することで心身に不調が生じる状態を指す。医学的には「LOH症候群」と呼ばれ、疲労感やいらいら、不眠や性欲の減退などの症状がある。性ホルモンの減少が発症の一因になるという点では、女性の更年期障害と同じだが、男性の場合は発症の有無や時期に個人差が大きい。30代でも発症することがある。 日本で初めて男性更年期外来を開設した堀江重郎・順天堂大大学院教授によると、特に「緊張感がある」「評価されない」環境にいると、テストステロンが減ってしまうという。「転籍や転勤、退職など環境が変化する時には、多少なりとも緊張するので、テストステロンが減る傾向にある。ただ、緊張しても他人から評価されたり、本人に意欲があったりすれば、むしろ分泌量は増えます」 うつ病と似た症状が起こることもあるが、堀江教授は「環境変化や上司のパワハラのように、発症のきっかけが説明できるものは、男性の更年期障害の可能性が高い」と説明する。 症状を感じても「年のせいだ」と見過ごしたり、「更年期を認めたくない」と感じたりする人は多く、堀江教授によると「受診率は低い」。「男性は『勝ち負け』のように単純な価値観で物事を判断しがちだ。男性更年期障害に『リタイア』や『弱っている』といった印象を受けるので認めにくい」 ただ、症状を放置し続けると命に関わる病気につながることがある。テストステロンには、臓器機能を維持し、老化を防止する働きがあるためだ。堀江教授は「分泌量が少ない状態が続くと、心臓病や糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まる」と指摘する。 また、発症割合の高い年代は職場で役職を得るなど、いわば「職業人生の収穫期」に当たる。「病気が重症化すると、大切な時期を台無しにしてしまう」と早期対応の重要性を説いた。
コメント 10件
私も似たような症状で病院に行き、血液検査でテストステロン値が低いと言われ、半年ほど注射を続けて再度血液検査をしましたが、テストステロン値は上がるどころか下がっていました。 ちなみにその病院はほぼ男性更年期の患者で大繁盛していました。 男性更年期という概念を広げることに、何らかの思惑も感じます。中年の危機(ミッドライフクライシス)という言葉もあるように、どこまでが器質的な問題で、どこまでが心因的、環境的要因によるものなのか、切り分けは難しいと思います。 自分の場合も、仕事では独立直後の必死な時期を過ぎて安定期に入り、子供も成長して手が離れ、目的を見失った面が大きかったと思います。 更年期の治療、特にテストステロン注射ですべてが解決するわけではない。自分と向き合い、新たな価値観を構築していくことが最も大切だと思います。とても難しいですが。。、
更年期障害は、更年期の症状と自律神経の乱れからの症状もあり、全神経が過敏になり身動きがとれない程の苦痛があります。 私は立ってられない程の目眩から始まりました。 女性の更年期障害も、働きたくても働けない、経済に大きな影響があると思います。 更年期障害は治療をしても、外出が出来ないほどの体調の悪さがあるので、通院や買い物のヘルパーなどのサポートがあると嬉しいです。 体調が回復してきても、数年閉鎖的な環境だった為、社会復帰が難しいです。社会復帰のプログラムもあるといいですね。
50歳すぎると漠然としただるさ、焦燥感、頭重感などの症状が来たり、肉体的には両肩の痛みで可動域制限、腰痛といった整形外科領域の症状が出たりといろいろ大変なことを抱えて生きている人多いと思います。 ただこの間あった人は急に目の焦点が合わなくなってふわーっとしたとか、両手に力が入らなくなってペットボトルのふた開けられなくなったという症状で病院の救急外来受診したら視床部の急性脳梗塞でした。 更年期障害だけではなく成人病のリスクも増えていること自覚して50代の人生を生きて行くことお勧めします。
経済損失よりも大切なことは一人一人の健康では。 男女ともに更年期は人により辛い症状が出て心身のコントロールが難しくなるのだから、無理せず1〜2年のんびりと休業する制度ができてもいいと思います。休業中の手当は産休・育休と同等にすれば庶務や社会保険のシステム的にも楽でしょう。 定年も伸び 長年働き詰めのサラリーマンだからこそ、もっと気軽に 誰もがじっくり休める世の中になって欲しいと思います。 それが周り回って日本社会の健全性にもつながると思います。
男性の場合なら、なるべく早い年齢から運動をする習慣をつけておいた方が良い。 ウォーキングやヨガのような有酸素系ではなく、筋肉を維持・増量する為のウェイトトレーニングの方が間違いなく効果的だ。 記事中にもあるテストステロンの低下を防げるので、EDなどの予防・改善につながるし、セロトニンやドーパミンの増加によって鬱病などの対策にもなる。 腕部や下腿部などの末端を鍛えれば、血流改善によって冷え性も防げる。 当然、運動による代謝に加えて基礎代謝が増える事によって肥満も防げるので、糖尿病や腰痛などの予防にも繋がる。 大会に出るボディビルダーほどのスケジュールを組むと弊害やリスクも出てきてしまうが、ほどほどにやるのならメリットしかないと断言しても良い。 自分は老父母の介護をしているが、運動をしている日としていない日とではメンタルにかなりの差が出る事を実感している。
同世代なのでよくわかります。 自分は5年前、コロナで会社がなくなり、その後まともな仕事にも付けず、体調を崩して心房細動になり手術を受けました。その後パートナーとも意思疎通ができなくなり、1人の生活をする事を決断しました。そこまでの間、いろいろなストレスに見舞わられて一緒にいるのもキツくなり、やがて別々の道を歩むことに。。 そして今までとは全く違った仕事に就き、最初は一から覚えるのがしんどくて大変でしたが、逆に新鮮さがあり、いろいろな仕事をする事によって楽しみを増やしていけたのです。今は体も心もどこも特に異常はなく、余生を働けるだけ働きたいと思っています。男性更年期と思いたくはないですが、人生、どこかでつまづくと体がいろいろとおかしな方向にいくものですから、私の場合、ほとんど精神的なものだったと思っています。ヤル気、根気、本気という言葉を日々使いながら楽しんで過ごしています。
自分の場合は、50歳くらいでしたが、普通に食べているのに半年で10キロ近く激痩せし、肌がガサガサになりました。 悪性の深刻な病気の症状のようにも思えたので、病院で血液検査、内視鏡、エコー検査、各種がんマーカー検査しましたが原因わからず。 ネットで似たような症例を知り、泌尿器科でテストステロン調べてもらったら、80歳代くらいの量しかないとのこと。半年間ホルモン注射を続け、ラッキョウを毎日食べて運動なども続けたら、幸い元に戻りました。
ミドルエイジクライシスと呼ばれる中高年の危機。 これらは精神的なものに起因する意欲の減退とされている。 だけど実際のところは更年期障害からくる身体の不調から起きている連動作用である可能性が高い。 ホルモン治療という医学的アプローチが必要な方もいるけれど、やはり基本は生活習慣を変えること。 とりわけ運動が大事。 30代くらいまでは運動習慣がなくとも身体の違和感は少ない。 しかし40代、50代になってくると驚くような不調がやってくる。 つい最近、医学的研究で44歳あたりで一気に老化が進むことが明らかになった。 あきらかに細胞や代謝のシステムが以前と変わってしまうという。 なので筋トレや有酸素運動で身体を常に活性化させないと快適な体調を維持できない。 この自覚があるかないかでその後の人生が決まる。 もっと知られるべき知恵だと思う。
自分も10数年前におかしいと感じ病院へ検査に行きましたが、その総合病院では男性の更年期障害を診察できる医師はおらずテストステロンの値が低いことだけ分かったのみです つまり治療もできない、何をすればいいのかも分からない、という状態 結局、我慢するのみで何とか乗り切りましたが周りの環境が良かったからだと思います あれでストレスが強くかかる状態ならうつ病などになっていたかもしれません
テスチロゲンを補うために、恋愛を行うとか、色々運動したりとか色々な趣味とかやるとかあるのでしょうけれども、それをやってる暇がないような状況に追い込まれたら、治療しか無いのでしょうね。 まあ、子育てとか、プチ単身赴任状態とか色々難しい状況でも、テストロゲンを補う方法があるといいのだけれども。 まあ、多過ぎても、子どもに乱暴になってしまうとかありそうだから、難しいバランスがありそうだよね。
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/e0577d37a6a20715d3f992c7a272059fe5b6bd6f
コメント