北陸地方のある弁護士のもとに2年前、79歳の女性が離婚相談に訪れ、こう訴えた。 「死ぬ前に名前を変えたい。あんな男の妻として死にたくない」 足が悪く、要介護度は2。これから一人暮らしをするのは難しいように思えた。「どうしても離婚しないとダメなんですか」と弁護士が尋ねると、女性はこう返した。「結婚してから、ずっと不幸だったんです」 大阪万博が開かれた1970年に、飲食業界に勤めていた同い年の夫と結婚した。若い頃から酒癖が悪く、酔うと暴れた。稼ぎが少なく、けんかが絶えなかった。専業主婦の自分を見下していた……。結婚してからの恨みつらみを、延々と聞かされた。 子どもの成人や就職、夫の退職など、人生の節目で離婚がよぎったが、切り出せずにきた。だが78歳の冬、酔っ払って河川敷で寝ていた夫を起こしにいくと、腕を払われて地面に頭をぶつけ、病院に救急搬送された。離婚の決意が固まったのはその時だったという。 離婚調停を申し立て、3回目の調停で夫が離婚に合意したため、年金分割の手続きをして離婚が成立した。その後、女性は介護施設に入った。 厚生労働省の統計によると、2023年に離婚した夫婦は18万3814組。そのうち70歳以上の夫は8627人、妻は5324人いた。10年前と比べ、70歳以上の夫は3千人超、妻も2千人超増えており、長寿化の進展で離婚を考える夫婦の年齢も上がっている様子がうかがえる。 累計2千件を超える離婚相談などを扱ってきた堀井亜生(あおい)弁護士によると、70歳以上の老年の夫婦の離婚は、夫の暴力が原因になることが多く、相談者はほぼ妻だという。 年を取って夫の気性がさらに荒くなり、妻に手を出す。妻が病気なのに助けてくれないどころか、夫が嫌みを言う――。 こうした状況に追い込まれた妻は、体力や気力の衰えもあって「もう少し我慢しよう」という気持ちが薄れ、「もう一緒にいられない」と追い詰められて相談にくるケースが多いという。 老年夫婦の離婚のカギは、子どもの助けが得られるかどうかだ。 70歳以上ともなると、賃貸住宅の契約自体が難しくなる。パートなどで働くこともままならない。母親を引き取って同居するなど、「住居とお金」の問題を子どもが解決できれば、速やかに離婚が成立しやすいという。 堀井弁護士は、両親の不仲に悩む子ども世代にこう助言する。 「高齢だから本気のはずがないと放置すると、不仲が深刻化しかねない。両親の話を聞き、離れて暮らすしかないと判断したときは手助けしてあげてほしい」(本田靖明)
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子供が成人したら離婚しようと思っていましたが、子供が性格の悪い父親を毛嫌いしていて、「早くあの人と離婚して!」と言われてたので、アラフォーの辺りで離婚しました。 派遣で働き始めて、正社員になり、子供は成人して働くようになり、頑張ってきて良かったと思えます。 離婚のタイミングはそれぞれなのですが、気力体力のあるうちから準備を進め、早めに離婚した方が精神的苦痛は軽減するかと思います。 自分は、一回り歳上の男性と結婚していたので、今になると介護を回避出来て良かったと思います。
素晴らしい決断だと思います。人生の終盤に差し掛かった時、自分が本当に納得できる形で人生を締めくくることは、とても大切なことですよね。「あんな男の妻として死にたくない」という切実な思いには、長年我慢してきた重みがにじんでいて胸が痛みます。最期の時間を後悔や未練ではなく、静かな誇りと安堵の中で過ごすためにも、自分らしい選択ができる社会であってほしいと心から思いました。
こういう親世代、祖父母世代をみていたからこそ今の若い人は結婚しても出産しても仕事を辞めないんでしょうね。夫の稼ぎが少ないというのもあるかもだけど、専業主婦選ぶのはリスクが高すぎる
男は仕事、女は家を守る昭和時代、飲み会、ゴルフ、子供の世話をしないし出産の大変さがわからない、休みはだらだら、ゲーム、ご飯支度は当たり前、感謝の言葉もなし男は定年あり女は定年無しで一生ご飯作り、他人が一杯のお茶を出してくれるだけで幸せになる ことを夫達は知らない。それが離婚のきっかけになる。
長年連れ添った末の離婚と聞くと驚く人もいるけれど、実際は「ようやく自由を得た」と感じている人も多いのだと思います。 家族のために自分を押し殺してきた何十年、その間に積み重なった小さな不満や傷が、子育てや介護を終えたタイミングで一気に表面化する。 「もう我慢しなくていい」と思った時に、人生の残りを穏やかに過ごすために離婚という選択をするのは、決して否定されるべきことではないと思います。 夫婦の形も、我慢ではなく尊重で続くものであってほしいですね。
元々暴言のある人でしたが、義理の母が亡くなった時に、まだ20代なのに墓の話をされて…。 私は適当に散骨してくれと言ったら激怒され、お前は死んだら〇〇家の墓に入るんだぞ!と言われ、それだけは嫌だとゾッとして早く別れなきゃと行動しました。 心から信頼しあってる夫婦を見ると心底羨ましいです。しかし毒にしかならない相手なら、いない方がずっと幸せです。
昔の男性は家庭よりも仕事を優先していたので、稼ぎが無くなってからは家にいるだけの存在。奥さんの不満が募っていくのも当然でしょう。 それが恨みになるかは個々の問題だが、老年離婚・熟年離婚が増える理由は、家庭内の会話は家事のバランスなどが大きく影響していると思います。 そうならないように日々のコミュニケーションは大事だと感じます。
両親はともに80歳代だが、40代後半は喧嘩が絶えず、息子ながらとっとと離婚しろと半ばヤケになったこともある。そんな両親も、父は家事洗濯がまるでダメ、母は専業主婦で、嫌でも互いに頼らざるを得なかったのか、それとも諦めか、ともかく現在に至る。彼らを見て思ったのは、相手の自分より優れたところを認め受け入れることも夫婦の長続きに大事ということだ。
私の両親もお見合いで、父はそこそこお金持ちのボンボン育ち。 でも私が生まれた頃には父方実家も一線を退き、特に実家からの恩恵もなく、ただ元ボンボン育ちの父がいる普通の家庭でした。 詳しくは書かないけど、父は色々と難しく、専業主婦の母親との諍いが絶えず、でも母は自立することも叶わなかったので、私は小学校高学年くらいから「自分の稼いだ金で自立して生きる」事を目標にしていました。 もちろん、お互いを思いやり、最後まで添い遂げることも大切だけど、ただ、それが叶わない時に自分の思うタイミングで別れられるよう、早期に女性も資格を取ったり常に自立に向けてのアンテナを張るべきだと思う。
酒癖が悪いだけでなく、稼ぎが悪い、それなのに今まで別れなかったのが判断力がなさ過ぎのように思う。家の夫婦は、性格も好みも違うが、仕事は人並み以上に夫はして、やるべきことはやってくれた。姑と同居で苦労したり、最初は夫婦中もそんなに良くはなかったが、お互い若く未熟だったのもある。お互い60代になり、やっと主人を理解してきて、懐の深さがわかった。人生の最終章でそう思えた事は幸せな事だと思う。
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/7d3d8f15bc02997b908e288014e33757623914a8
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