参院選が迫る中、与野党とも有権者の「手取り」を増やす公約が飛び交っている。背景にあるのが、なかなか増えない日本の給料だ。先進国で「一人負け」が続くその実態とは。 * * * 日本の給料は30年以上、ほとんど上がっていない。日本で暮らしていると実感がないかもしれないが、世界的にみるとその停滞ぶりは「異常」だ。経済協力開発機構(OECD)によると、2023年の日本の平均賃金は加盟34カ国中25位。33年前と比べると、アメリカが2万6339ドル(1ドル=145円で382万円)増えたのに対し、日本は98ドル(1万4千円)しか増えなかった。 日本の順位は1997年には38カ国中15位と平均以上だったが、以降は下落が続いた。99年にはOECD平均を下回り、フランスやイギリスにも優に抜かされ、今では主要7カ国(G7)で最低。OECD平均に150万円以上も引き離されるまでになった。隣国の韓国には2018年に抜かされ、すでに6年がたつ。 「先進国で賃金が上がっていないのは日本だけです。日本では、賃金が上がらないことが当たり前になりました」 こう話すのは日本総研の客員研究員の山田久さんだ。なぜ右肩上がりの国が多い中、日本は「一人負け」なのか。山田さんの答えはシンプルだ。 「結果的に変化を恐れて立ち止まってきたからです。ある意味必然的な帰結だと思います。今後も立ち止まったままであれば、平均賃金はもっと落ちていくでしょう」 日本の賃金停滞の発端について、山田さんはバブル経済の崩壊だとみる。 戦後の日本は急速に工業化が進み、高度経済成長とともに賃金も右肩上がりだった。だが90年代のバブル崩壊で局面は大きく変わった。 「バブル崩壊後、企業はどんどん潰れて、名だたる大企業が希望退職を募った。いままでになかったショッキングな状態になったことがトラウマになり、企業は給料を上げることをやめました」 企業側だけでなく労働者側も動かなかったという。 「欧米なら転職するか、労働組合が交渉して給料を上げるように働きかけますが、日本ではその現象は起きなかった。日本に賃金を上げる仕組みがなくなったのです」 賃金を含めたコストカットに躍起になり、不採算事業を整理せず、事業転換が遅れた。労働組合も賃上げより、正社員の雇用を守ることを優先したため弱体化した。 物価が上がらないデフレが続き、企業の稼ぐ力も伸び悩んだ。日本生産性本部が出す「労働生産性の国際比較2024」をみると、日本の下落は鮮明だ。1人当たりGDPは5位(96年)から26位(23年)、1人当たりの労働生産性は13位(90年)から32位(23年)に沈んでいる。 30年以上も横ばいだった日本の給料にようやく変化の兆しが見え始めている。 今年の春闘の賃上げ率は5%を上回り、バブル崩壊前以来の高さとなった昨年に続く高水準となった。新卒社員の初任給を引き上げる企業は7割に達した。3月の平均名目賃金は、前年同月比2.1%増の30万8572円。プラスは39カ月連続だ。 背景にあるのは人手不足だ。これまでは女性やシニアの働き手が増えたが、これ以上の労働力は増えない。物価高だから、ある程度の賃上げをしないと生活が苦しいのは経営者の目にも見えている。 「給料がちょっとでも増えると、買い物しようと思う。結果的にいいものは売れて、そうでないものは売れない。否応なしに賃金を上げる局面に入りました」 利益が上がらない企業は不採算事業を整理せざるをえなくなる。自ずと、生産性が上がっていく方に動いていくことになるという。
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人件費が上がらないとか 生産性が上がらないのは バブルの崩壊が原因ではなく 単なる切っ掛けに過ぎません。 今の日本経済が 一人負けしている最大の原因は 消費税と社会保障費 だと思います。 この二つが足枷となって、 日本経済の発展を 妨げていると考えます。 事の本質を見極めなければ 更に国民の生活が 苦しくなっていきますので、 消費税の廃止と 社会保障費の負担軽減を 国民は声を上げていく必要があります。
長時間勤務やサービス残業が法改正により できなくなってきたのが反映されているだけだと思う 逆に言えば、長時間勤務やサービス残業ではなく、 上位国のように生産性の向上を目指さなければ上には行けない 働き方改革で改善しようという努力は感じるが、 従業員のマインドが追い付いていない気がする 解雇規制の見直しは絶対必要だと思う
最近非常に感じる事ですが、日本一人負けの大きな原因の一つは「国民自身が現状維持(保身)に固執し、未来に投資してこなかった」事に尽きると思います。 例えば米国の株式市場を見ていると、米国民や企業が金利の高い、低いをものすごく気にしている事が判ります。米国は金利が低い時に借り入れをして、どんどん先行投資していくという経済スタイルです。 半面、日本は約30年も超低金利時代が続いたにも拘わらず、誰も投資をしませんでした。ある意味結婚、子育ても将来の自分に対する投資ですが、挑戦する人は大きく減ってしまいました。 これではショボい未来の日本になるのは当然です。日本人は総じて「チャレンジしなさ過ぎた」と感じます。
日本は高齢者ばかりだし、税や社会保険料がドンドン上がって、手取りは上がらないし物を買う気が失せるよ。 未婚の若者も事実上高齢者を扶養させられているから、もっと被扶養者を増やす結婚も子育てもできない。 1人負けなのは当然なんだよね。世界一の高齢化率30%なのだから。 全世代型社会保障とか国は言い出しているけど、金額ベースでは8割は高齢者向け。 産業の生産性の問題ではなく、ひたすら長生きで不健康な高齢者を増やす皆保険の医療制度など、日本の構造的な問題だから、これからもドンドン衰退するだろう。
雇用の大きい大企業が全然雇用しない。非正規でも直接雇用したほうが良い。 派遣会社が多すぎるのが問題だと思う。 それから日本は人口がまだ多すぎる。高齢者と現役世代とのバランスを取りつつ、これから少しずつ減らしていって食料自給もそれなりの状態に持っていかないと有事に詰んでしまう。
原因は単純明解。企業が人材育成や賃上げに資金を使わなくなり、利益剰余金として、ひたすら溜め込むようになったからだ。そのため大企業が貯め込んでいる利益剰余金は、とんでもない規模に膨れ上がった。アベノミクス開始時には300兆円と推定された利益剰余金は、2022年には550兆円になり、2023年にはとうとう600兆円の大台に乗った。 「賃金が上がらないのは、生産性が上がらないからだ」という言い訳は通用しない。生産性が上がっていることはデータが示している。さらに企業の対外投資も増える一方で、年間16兆円のペースで増え続けている。もはやごまかしようがないのだ。参考文献:「日本経済の死角」
アメリカは客から別途チップを貰える計算に入れていい、韓国は最低賃金が守られていない、フランスは若い自国民を技能実習生にしているという記事はそれぞれ見たので、バランスを取るなら日本だと社会保険料を一度全額つけて天引きするとかでいいと思う。
この十数年間、企業の売上、利益、株式配当、役員報酬は上がり続けてきました。 上がらなかったのは、賃金だけです。 労働争議もストライキもしない。これでは賃金はなかなか上がりません。 労働争議もストライキもしない理由は、日本は企業別労働組合だったり、そもそも労働組合が無い会社が多いからです。
ここ最近は新コロナや戦争、海賊の影響で物価が高くなってきたから賃金額がクローズアップされてきましたが、物価との割合と比較しないと意味が無いですよ。 賃金が他国と比べて低くても物価も同じように低ければ住むには困らない。 「一人負け」というワードで煽る意味がわからない。
今の70代以上のリストラを避ける為に氷河期世代を政治的に作ったんだから仕方ない。アメリカはリーマンの時に会社はどんどん潰れて失業者も大量に出てガラガラポンが起こった。アメリカもそこで政府が延命した自動車や鉄鋼業は今どうにもならない位に弱体化してしまってる。社会主義的な政策は大体が上手く行かない。
引用: https://news.yahoo.co.jp/articles/fa7fa54a6386c99b9ea85ee4231e6833740c9563
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